地理教育・ESDの研究Geographical Education and ESD
- 国際地理学連合地理教育委員会が作成した地理教育国際憲章やルツェルン宣言などは、日本の学習指導要領をはじめとして、イギリスのナショナルカリキュラムやドイツのナショナルスタンダードなど世界の地理教育に大きな影響を与えています。海外の地理教科書を全訳して、海外ではどのようにして地理的思考力やスキルを育成しているのか、資質能力を育成するためのアクティビティをどのように設定しているのかなどについて研究しています。
- ユネスコによって取り組まれているESD(持続可能な開発のための教育)について、特にコンピテンシーの育成に着目して研究しています。ドイツではESDに熱心に取り組み、ESDによる教育改革が図られていますので、ギムナジウムを訪問して、地理授業の内容とともに授業方法を学びたいと思っています。
海外調査
2009年8月 | ドイツ:マインツ,フライブルク,エッセンでESDに関する調査,授業見学 |
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2010年4~5月 | ドイツ:ワインガルテン教育大学(ESDに関するドイツの取り組みに関する調査),ウィーン:EGU(学会招待参加)でESDをテーマとした教員研修ワークショップに参加 |
2016年1月 | ドイツ:デュッセルドルフ、バードクロイツナッハでギムナジウム訪問とESDの聞き取り調査、アムステルダムでESDの資料集中 |
2017年2月 | ドイツ:デュッセルドルフ、フランクフルトで地理教科書調査、日本人学校訪問 |
2018年2月 | ドイツ:日本人幼稚園訪問、地理教科書調査 |
2018年9月 | ドイツ:地理教科書調査 |
2018年11月 | ドイツ:ギムナジウム、日本人学校訪問、地理教科書調査 |
2019年9月 | アメリカ合衆国:シカゴ大学実験校訪問 |
2019年10月 | タイ:バンコク日本人学校訪問 |
2019年11月 | ドイツ:デュッセルドルフの日本人学校・幼稚園など見学 |
2022年9月 | シンガポール日本人学校、Tamasek Junior College、 国立シンガポール大学附属理数科高校訪問 |
2023年7月 | シンガポール日本人学校訪問 |
1.海外の地理の教科書研究
イギリスとドイツの教科書には、アクティビティが設定されて、暗記ではない地理の学習ができるようになっています。毎年、大学院のゼミで、主としてイギリスの地理教科書の全訳と内容の考察を行っています。
これまでに大学院のゼミで翻訳した教科書
イギリスの教科書
- Nelson: New KEY GEOGRAPHY foundation
- Nelson: New KEY GEOGRAPHY basic
- Nelson: New KEY GEOGRAPHY for GCSE 2nd ed.
- Longman: Longman Geography CHANGE
- Longman: Longman Geography CONTEXT
- Longman: Longman Geography CHANGE
- Longman: Think through Geography1, 2, 3
- Cambridge University Press: World Geography : Case Studies
- Cambridge University Press: Global Issues of our time
- Cambridge University Press: Green Pieces
- Cambridge University Press: Society pieces
- Oxford University Press: “Geog.1”, “Geog.2”, “Geog.3” 3rd edition
- Oxford University Press: “Geog.1”, “Geog.2”, “Geog.3” 4th edition,
- Oxford University Press: “Geog.1 5th edition”
- Oxford University Press: “Oxford International Primary Geography 1, 2, 3, 4, 5, 6”
- A Harcourt Education Company: Holt’s Guide to the ARG World CD-ROM
ドイツの地理教科書
- Klett: “India: Themenheft mit CD-ROM”
- Langenscheidt: “New Edition plus Topics India Modern Democracy or Many-Headed Giant?”
- Diercke(2013): “Diercke Geography for bilingual classes 1, 2"
2.ESD(持続可能な発展のための教育)に関する研究
ユネスコが中心となって取り組んでいるESDについて、理論や概念の研究とともに、ESDに関連した授業開発をしています。
「今、世界には環境、貧困、人権、平和、開発といった様々な問題があります。ESDとは、これらの現代社会の課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことにより、それらの課題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出すこと、そしてそれによって持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動です。
つまり、ESDは持続可能な社会づくりの担い手を育む教育です。」
ESDで育みたい力は次の通りです。
- 持続可能な開発に関する価値観人間の尊重、多様性の尊重、非排他性、機会均等、環境の尊重等)
- 体系的な思考力(問題や現象の背景の理解、多面的かつ総合的なものの見方)
- 代替案の思考力(批判力)
- データや情報の分析能力
- コミュニケーション能力
- リーダーシップの向上
学習指導要領ではESDの視点が強調されています。卒業論文研究や大学院の授業を通して、上記の力を育成する地理の授業開発について考えていきます。
3.海外の地理授業見学
毎年、ドイツのギムナジウムを訪問して、地理の授業を見学しています。