修士論文で公営住宅に母子世帯が多いことを明らかにしてから、女性に関わる住宅問題に取り組んできました。その時に、住宅問題だけを研究するのでは限界があり、住宅に関わって女性の仕事や子育て、生活面を考察しないと住宅問題の背景がわからないことを痛感しました。一見、都市研究と女性の仕事や子育ての研究は全く関係の無いことと思われるかも知れませんが、住宅問題を福祉の面から、住宅供給に関わる不動産デベロッパーの面から、あるいは生活様式の面から、など、多面的にとらえることを試みているうちに、仕事に関わる生活様式や保育・子育てなどにも研究領域が広がってきました。

海外調査

児童福祉（子育て、学童保育、認可外保育所、子育て広場）に関する研究

女性の就業に関する研究

①非正規の女性就業に関する研究

高齢者介護施設で働く女性の就業について調査した結果、就業者の大部分は非正規雇用の女性たちで、断片的な就業時間によるパッチワークのような組み合わせによっていることを明らかにしました。

②海外で働く日本人女性の就業と生活に関する研究

英語の語学力を生かそうとしたり、自分自身のキャリアアップを図ったり、あるいは漠然とした海外就職への憧れなど、様々な理由によって海外就職した女性たちに、シンガポール、サンフランシスコ、バンコク、上海、フランクフルト、デュッセルドルフ、香港でインタビュー調査をしました。女性たちは日本における雇用状態からの変化を求め、給与よりも自分自身の働き甲斐などに満足を感じていることから、精神的移住者(spiritual migrants)とみるのが妥当かもしれません。
女性たちへのインタビュー調査から、大部分が人材紹介会社を利用していたことから、シンガポール、バンコク、ドイツにおいて、日本人を日系企業に紹介する日系人材会社の調査をしました。

③シングルマザーの生活に関する研究

④女性の起業に関する研究

広島市において、幼稚園を開設したり、古着のリサイクル店を開業したり、介護事業所を開設するなど、起業した女性たちにインタビュー調査をしました。

⑤育メン（男性の家事と保育）についての研究

郊外地域の女性の保育状況について調査している時に、男性の家事と育児への参加が各家族と大家族で異なることに着目して研究しました。

⑥児童福祉の研究（子ども食堂、子育て支援など）

コロナのパンデミックによって現地調査ができていませんが、全国各地の子ども食堂のデータベースを作成しています。

2023年9月　広島ガス主催の子ども食堂見学